「もうリーダーについていけないです」

あるプロジェクトに参加している主任が吐露した言葉です。

理由を聴くと、方針と戦略に納得がいかない、言ってることと行動が違う、自分と判断基準・価値観が違う、とのこと。
即座に、このリーダーは「リーダーの条件」を外しちゃったなぁと感じました。

方針と戦略に納得がいかない

方針と戦略については、会社の進もうとしている道があるから、仮に納得いかなくても、主任クラスでは実はどうしようもない部分でもあります。
だからこそ早く昇格しようぜ!と思うポイントでもあります。

そうはいっても反面、リーダーが主任とのコミュニケーションが足りないことは否めません。
なぜこの方針なのか、この方針で進むためにはこの戦略がベストな理由を主任にもわかりやすく説明しなければなりません。
リーダーは、「ちゃんと伝えている」と思っていると思いますが、合意が取れていないことは事実です。

相手が日本人で言葉は通じているのが大前提としてあるので、だから「伝えたらわかってくれているはず」と思い込んでしまいます。
ここが盲点です。

言葉はわかっても、言葉の持つ理由・背景・意図など理解できるように話し合わなければ、心から「わかった!!!」とはならないのです。
上手な対話ができれば、人は動きます。

人との対話は三段階あります。

  1. 耳から言葉が入る
  2. 脳に言葉が入る
  3. 心に言葉が入る

3段階目の「心に言葉が入る」までコミュニケーションを取れようになると、部下は自発的になり、リーダーはマネジメントがしやすくなります。
3段階目は、「日本語では沁み入る」、「腑に落ちる」という言い方もありますね

これは部下だけではなく、いつでも使える考え方です。
具体的には、よく言われる傾聴・承認・質問を組み合わせるだけです。

コミュニケーションの基本のキ

コミュニケーションは生まれた直後からずっと無意識に行っていることなので、できていると思いがちです。
しかし、『 気づき➡学び➡実践 』の繰り返しをしないと、質を上げることは困難です。
中でも、傾聴、承認、質問はコミュニケーションの基本中の基本です。
この3つの質をあげることで格段にコミュニケーションレベルがあがります。

傾聴にはレベルがありますし、場面に合わせて傾聴の度合いを変えていくことも大切です。
そもそも傾聴ができなければ、レベルを変えることもできません。

承認は、=褒めるではなく、相手を認めることです。
存在していることを認める挨拶や、行動したことを認める声掛けなども承認です。
承認は、相手に伝わって初めて承認したことになります。
心の中で感謝を100万回唱えても、承認したことにはなりません。
感謝があるなら、言葉に出して初めて承認したことになります。

質問は、自分が知りたいから行う質問もあれば、相手の思考の幅を広げる質問もあります。
またお互いに理解を深める質問もあるなど、様々な質問があります。
でも、人にはいつもよく使うパターンがあるので、学ばないことにはパターンを増やすことができません。

次回は、部下がついてくるリーダーになるためのコミュニケーションに関するヒントをお伝えしますね。

文:菅生としこ

株式会社AWESOME EYE 代表 菅生としこ

菅生としこプロフィール

トヨタ自動車出身。組織づくり、人づくりのど真ん中で働いた原体験からはたらくを面白がる達人。
“トヨタの問題解決”を整理体系化し、広く展開。問題解決できる人材開発を行った立役者。
事業の問題解決、人が関わる問題解決、変化成長し続ける組織づくりのための問題解決サポートを得意とする。
問題なくして成長なし!問題があるからオモシロイ!

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