
「せっかく高いお金を払って研修をやったのに、翌週にはいつも通り」
そんな経験、ありませんか。
社員は研修の後、口を揃えて「良い話が聞けました」「勉強になりました」と言います。
アンケートの満足度も悪くない。
それなのに、現場は何も変わらない。
同じ報連相の漏れ、同じ後回し、同じすれ違い。
経営者としては、「一体何にお金を払ったんだろう」という気持ちになりますよね。
その気持ち、痛いほど分かります。
これは決して珍しい話ではなく、多くの中小企業が同じ壁にぶつかっています。
実は私自身も研修を提供する立場として、「なぜ多くの研修は現場を変えられないのか」を突き詰めて考え続けてきました。
研修は「知る」で終わり、現場は変わらない
多くの研修は、講師が話し、受講者が聞き、メモを取る、たまにグループで話し合ったり共有する、という形で進みます。
これは「知る」ための場としてはとても優れています。
ただし、「知っている」ことと「できる」こと、「している」ことの間には、大きな距離があります。
たとえば「傾聴が大事です」と教わっても、翌日から急に部下の話をじっくり聞けるようになるわけではありません。
頭では分かっていても、忙しい現場に戻れば、いつもの癖がすぐに顔を出してしまう。
無理もないですよね。これはその人の能力の問題ではなく、多くの研修に共通する設計の問題なのです。
一般的な研修が現場を変えられない理由を整理すると、次の3つに集約されます。
- 知識のインプットで終わり、感情を伴う体験がない
- 「気づき」ではなく「正解」を教える形になっている
- 研修が1回きりの「点」で終わり、前後のフォローがない
うまくいかない理由が分かったら、うまくいく設計ができる
一方で、効果が持続する研修というものもあります。
効果が持続する研修と一般的な研修と違うのは、こうした「うまくいかない理由」を最初から織り込んで設計している点です。
うまくいかない理由が分かっているからこそ、うまくいくためのポイントを一つひとつ研修の中に仕込んでいます。
「知る」で終わらせず、気づきを引き出す
効果が持続する研修では、経験学習というサイクルを軸にしています。
問題を見つけ、事実をもとに解決策を考えて行動し、その結果を振り返り、うまくいったことは標準化していく。
人は、このサイクルを自分の力で一周してみて初めて、力をつけていくものなんですよね。
このサイクルの中で本当に人を動かすのは、「知識」ではなく「気づき」です。
「自分の関わり方は、実はこうだったのか」と本人が体感として気づいたとき、初めて行動は変わり始めます。
だからこそ私も、効果が持続する研修にするために、講師が正解を教える時間よりも、本人が気づく時間を意図的に多く設計しています。
ゲームで、感情を伴う体験にする
効果が持続する研修の1つのスタイルとして、ゲームを取り入れている研修があります。
ゲームを取り入れるのは、遊びのためではありません。
ゲームには、「楽しかった」「しまった」「悔しい」「やった」といった感情が自然に伴います。
人は感情を伴った体験ほど記憶に残りやすく、行動にも結びつきやすいという性質があるからです。
ゲームの中で「つい自分でやってしまった」「気づいたら一人で抱え込んでいた」という経験をすると、それは単なる知識ではなく、「自分ごと」として刻まれます。
この「自分ごと化」こそが、研修後も現場での行動が続くかどうかを分ける、大きな違いだと感じています。
研修を「点」で終わらせず、「線」で設計する
もう一つ、一般的な研修で見落とされがちなのが、1回きりの「点」で終わってしまうことです。
研修は、あくまで気づきのきっかけに過ぎません。気づいたことを現場で試し、振り返り、標準化していくには、研修の前後を含めた「線」の設計が必要です。
そのため、私も研修を設定する時には、実施前に現場の悩みを具体的にすり合わせ、実施後も振り返りの機会をご提案するところまでをセットにしています。
- 研修前に、現場でどんな悩みが起きているかを具体的にすり合わせる
- 研修後、1on1や会議で「あの気づき、その後どうなった?」と振り返る機会をつくる
- うまくいった行動は、チームの中で共有し、当たり前のやり方に育てていく
「また新しい仕組みを増やすのか」と身構えたくなる気持ちも分かります。
ただ、これらは決して大掛かりな仕組みでなくて構いません。
まずは「研修の翌週に、1つだけ振り返りの機会をつくる」というくらいから始めても十分効果があります。
研修の効果を一過性で終わらせるか、組織の力に変えていけるかは、実はこうした地道な仕組みづくりにかかっているのかもしれませんね。
まとめ
研修をやっても現場が変わらないのは、社員のやる気や能力の問題ではなく、多くの場合「気づきを行動につなげる設計」が抜けていることが原因です。
- 知識のインプットだけでは、行動は変わらない
- 現場を動かすのは「気づき」であり、感情を伴う体験ほど記憶に残る
- 研修を「点」で終わらせず、前後を含めた「線」として設計する
うまくいかない理由が分かっているからこそ、うまくいくポイントを設計に組み込める。
昨今、各企業の人材育成へのニーズがかなり高まっています。
研修すればよい、というものではなく、今日のブログを参考に、効果が持続する研修を講師にお願いしてみてくださいね。
