女性が活躍する組織にしたい!なんて最高。

トヨタ自動車に在職していた時、今から23年前、1997年から女性が活躍できるようになるためにどうしたらよいのかを考え、「キャリアアップセミナー」という女性社員対象の社内研修を企画実施、そして自ら登壇した。
一日研修の内容は大きく3本立て。

  1. 仕事のやり方「問題解決法」
  2. 仕事にどのように向かうのか「マインド」
  3. 女性が男性社会で生きていくための「コミュニケーション」

それは、私がとても優秀な女性社員だったから企画したわけではない。少し私の話をさせてもらいたい。

私はトヨタに入社後、
“自分は仕事が全然できないし、仕事の仕方を教えてくれる人もいない。このままではいつまでたっても仕事ができるようにならない。ではどうしたらよいか?”

と考えたことが発端だ。
そこで、仕事にやり方があるのだとすればどんなやり方なのかを調べ、仕事ができる人に聞きながら、効率的・効果的な仕事のやり方を整理・体系化した。
そして、自分だけ仕事ができるようになればいいのではなく、きっと他にも私のように仕事ができるようになりたい、自分の活躍の場が欲しいと思っている人がいるはずだ!という強い信念で女性社員対象のセミナーを立ち上げた。
もちろん、社内でやることは上司の承認が必要だ。私の信念や意欲だけでは承認はもらえない。そのため、上司から信頼をおいてもらえるようになるためにはどうしたらよいのか考え、行動した結果、上司から快諾してもらうことができた。その時の上司Aさんには本当に感謝をしている。
またその当時は、今のように問題解決という言葉がメジャーではなく、市販の本もほとんどなく、もちろん世の中に研修もほとんどない中で、一人だけで整理・体系化することも難しかったため、周りの上司・先輩・同僚にも様々なサポートをしていただいた。何事も一人でやるには限界がある。人を巻き込み、協力してもらえるかどうかも重要だ。

私の女性活躍の場づくりへの取り組みは、こうしてスタートした。

女性活躍推進は、様々な方法がある。上記の私の方法はその1つだ。誰かがいないとできないわけではなく、最初は一人でも始められるということの証明でもある。しかし女性活躍推進にもポイントがあることがわかっていただけたのではないかと思う。

誰が取り組みを行うのか、何が目的なのか、どんな資源があるのか、どんなスポンサー・サポーターがいるのか、その先にどんな未来を想像しているのかなどを考えながら、女性活躍推進をデザインできれば、必ずうまくいく。
言葉の定義も非常に重要で、女性一人一人が考える「活躍」という言葉、男性からみた「女性活躍」という言葉に含まれている意味をしっかり認識しながら、取り組むことも必要だ。

参考までに、前述のキャリアアップセミナーは、徐々に参加者も増え、女性やその上司から非常に満足してもらえるセミナーとなっていった。男女関係なく、仕事のやり方さえわかれば、また仕事に対する考え方がわかれば仕事ができるようになる、生産性をあげることができるようになるということを理解してもらえた点において、女性活躍推進に大きく貢献できたと非常に嬉しく思っている。

そして、その「問題解決法」はその後、新入社員全員にインストールすべく、新入社員研修に組み込まれることとなり、また中途採用の社員やトヨタ自動車の海外現地スタッフにも展開され、トヨタ全体の共通言語として浸透していった。
問題解決法という全社員共通言語によって、仕事のやり方によって、トヨタ自動車の善循環の仕組みをつくることができた。

あなたの企業でも女性活躍推進によって何かが変わることだろう。また何かを変えていこうとするそのあなたの行動を心から応援したい。

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