前回「組織改革はなぜ必要か」につづき、本ブログでは、「どうすれば社員が会社を改革できるのか」についてお伝えしていきます。

目次

  1. 社員が会社を変えるには、何をすればいいのか?
  2. 「会社を変える」効果とは?|組織改革のメリット
  3. まとめ

1. 社員が会社を変えるには、何をすればいいのか?

社員の立場で会社を変えていくためには、何をすべきなのでしょうか?
経営陣でなくてもやれることはいろいろとあります。

部長、課長、係長、一般、どんな役職であれ、「変えたい」と思った人が会社を変えることができます。
ここではぜひ実践してほしい4つの項目についてお伝えしていきます。

(1)現場をよく観察する

自分のできることから始めることが、チェンジマネジメントの第一歩です。
まずは現場をよく観察してみましょう。
現場を観察することで、本当に必要とされているニーズを見つけることができます。
そうすれば理想と現実のギャップにも気づくことができるはずです。

また、自分の業務内だけでなく少し範囲を広げて現場を観察することもおすすめします。
新しい立場で物事を見ると、新しい視点を手に入れることができるからです。
例えば隣の部署の現場を観察してみる、日頃から関わりのある事務作業を観察してみるといった感じです。
ここで得た新しい視点によって、今まで共感できなかった相手の考え方や価値観が理解できるようになります。
この「問題点を見つけ出す」「共感できるようになる」ということが、組織改革の大切なスタート地点です。

(2)問題提起とビジョンの提起

社員という立場であっても、勇気を振り絞って問題提起をしていきましょう。
現場をしっかり観察し、本当のニーズも把握できているからこそ、
経営陣が気づかずにスルーしていた「社内の大切な問題点」を提起できるのです。
そこは組織改革をするための大きなきっかけになります。

ここでポイントになるのは、問題提起をするだけでなく、
その問題を解決することによってどんな環境がつくれ、どんな成果に結びつくのかといった将来のビジョンまで提起することです。
ここでは、伝える努力だけでなく、「相手に伝わる努力」が重要です。
そうすることで聞いている側もイメージしやすくなり、行動に移しやすくなります。
経営陣や上司に対しての説得力も増すでしょう。

(3)「共感」してくれる仲間を見つける

また、共感してくれる仲間を増やす努力も大切になります。
ひとりの力では限りがありますが、同じ志の仲間が増えれば変革のための大きな力となります。
そのためには、日頃からの積極的なコミュニケーションが必要でしょう。
相手の行動を承認し、信頼度を高めていくような働きがけも効果的です。
その中で問題提起とビジュアル提起を少しずつ繰り返し行っていきます。

しかしコミュニケーションを取れる機会は限られていますし、相手も限定的です。
ですから、勉強会といった活動を展開していく方法もあります。
勉強会であれば部署の垣根もなくいろいろな人とつながりを持ち、そこで共感してくれる仲間を見つけることも可能です。
社員の足並みをそろえるためにはこういった地道な取り組みが必要になってくるのです。

(4)変化への取り組みを継続する

そして社員の立場で組織改革を目指す最後のポイントとして、「継続」が挙げられます。
実際、これが一番のハードルになるかもしれません。
新しい試みをしても結果に表れるまでには時間がかかります。
経営者や上司は「いったいいつになったら成果が出るんだ?」とプレッシャーをかけてくることもあるでしょうし、
その改革に反発している人の中には「やっぱり無理な話だったんだ」と否定してくる人もいるでしょう。
そこでくじけてしまっては、会社を変えることはできません。

会社を変えるということは時間がかかり、とても忍耐を必要とする取り組みなのだということを事前に理解しておきましょう。
そんな中、新しい働き方や取り組みを実践して少しでも結果に表れている人やチームに対して、注目が集まるような演出も必要です。
「少しずつでも会社は良い方向に変わっている」ということを、積極的にアピールするのです。
成功事例を共有することで、同じやり方をする人やチームも増えてきます。
こうして、共感できる輪が社内にどんどん広まっていきます。
会社を変えるためには「我慢強さ」「地道に努力を継続していくこと」が不可欠です。
ぜひ、諦めることなく取り組みを継続していってください。
それには共感し、励ましてくれる仲間の存在も貴重です。

「会社を変える」効果とは?

2. 「会社を変える」効果とは?|組織改革のメリット

最後に、実際に組織改革が成功し、会社が変わるとどんな効果があるのかについて確認していきましょう。

(1)良好な人間関係の構築

変革が順調に進む過程では、社内のコミュニケーションがかなり活発になり、信頼関係も生まれてきます。
互いに相手の意見を受け止め、自分の考えも伝えることができる環境になっていますので、
社内の風通しは改善され、良好な人間関係が構築されていきます。

これは上司と部下の関係にも当てはまります。
上司は頭ごなしに部下に命令するようなことはせず、
目標を達成するためには何をすべきかを、社員自らが考えられるようサポートし、チャレンジできる環境を整えます。
また、それが失敗に終わったとしても、そのチャレンジを承認し、
失敗から何が学べるのか、何を変えていけばいいのかを、チームで考える機会にします。
こういった前向きなフィードバックによって、部下はより意欲的に働くことができるのです。
生産性の高い人間関係を構築していくこともできるわけです。

(2)離職率の減少

社内の人間関係が良好であれば、離職率は減少します。
しかも経営者や上司が自分の働きをしっかり認めてくれる環境であり、自分自身を高めていくことができるという実感があれば、
仕事や会社が嫌になって退職するというケースはかなり減るでしょう。

離職率が高いと優秀な人材が定着しないという問題もありますが、そこも改善していくことができます。
離職率の高さによって業績が安定しないという問題を、解消していくことができるのです。

(3)自主的に行動できる社員が育つ

指示型・命令型のマネジメントが変革されていますので、
現場にいる社員は新しい問題に対してまず自分で考え、行動して解決しようという積極性と主体性が増していきます。
もちろんコミュニケーションの量も増えていますから、独断専行というわけではありません。
周囲や上司に対して相談や報告をしながら自主的に行動していくので、チームとしても機能していきます。

(4)次世代リーダー育成

相手と共感しながら力を合わせて新しい問題を解決していく力は、リーダーにとってとても重要な要素です。
組織改革に成功した会社では、自然と次世代のリーダーを育成できる環境づくりができています。

上司や先輩方が自分に接してくれたように、新しい若手に接していけばいいからです。
社員は自然に、周りに対して、まず相手の存在を受け止め、信頼を得てから、
自主的に考え行動できるような手助けをするようになります。
改革された環境だからこそ、そういったスキルが働く環境や経験の中で培われていくのです。

(5)イノベーションの促進

主体性を持つ人材が育ち、社内のコミュニケーションが活発になれば、
社員一人ひとりから多様なアイデアが生まれ、それがスピーディーに実現されるようになります。
もちろんそのすべてが成功するわけではありませんが、失敗から学び、より洗練されていくことで、
本当に世界に通用するようなイノベーションを生み出す可能性が高くなるのです。

この場合のイノベーションは、新たな商品やサービスの開発に限らず、生産性や作業効率の向上につながる業務改善も含まれます。
組織改革に成功すると、このような多方面のイノベーションの促進も期待できるのです。

(6)レジリエンスの高い組織になる

これまでお伝えした5つのメリットを備えていれば、自ずと会社のレジリエンスも高まっていきます。
レジリエンスとは変化や危機に対応し、その困難を乗り越えていく力のことです。

変化を一番感じることができるのは現場の社員ですし、新しいニーズに敏感なのもやはり現場の社員です。
社員が自主的に行動できるようになると、予期しなかった環境の変化に対してもいち早く対応策を考え、行動に移すことができます。
グローバル化や技術革新、コロナ禍といった大きな問題に対しても、新しいアイデアと行動力で乗り越えていける会社になるのです。
レジリエントな会社を目指すのであれば、旧来の組織構造に執着せず、大胆な組織改革をしていくことが不可欠です。

「会社を変える」効果

まとめ

これからの激動の時代で企業が生き残っていくためには、変化に対応できる組織づくりが重要になります。
それは経営者だからできるというものではありません。
社員という立場であっても、会社を変えていくことは可能なのです。

経営者や上司が変わることをただ待っていても事態は良くなりません。
むしろ悪化していき破綻してしまう可能性もあるでしょう。
そうならないためにも、まずは自分のできることから会社を変えるための行動をしてみてください。

自分を変えることが、会社を変える第一歩です。
「AWESOME EYE」は、そんな前向きなあなたを応援しています。

次回は、経営陣と社員が協力し合い、どのように会社を変えていけばよいのかについてお伝えします。

株式会社AWESOME EYE 代表 菅生としこ

菅生としこプロフィール

トヨタ自動車出身。組織づくり、人づくりのど真ん中で働いた原体験からはたらくを面白がる達人。
“トヨタの問題解決”を整理体系化し、広く展開。問題解決できる人材開発を行った立役者。
事業の問題解決、人が関わる問題解決、変化成長し続ける組織づくりのための問題解決サポートを得意とする。
問題なくして成長なし!問題があるからオモシロイ!

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