歯科医院の数はコンビニの数より多いと聞いたことはありますか?

厚労省の2024年統計によると、全国の歯科診療所は67,755軒、コンビニエンスストアは55,641軒だそうです。
そう思うと、歯科医院はたくさんありそうな気がしますが、私が通っている歯科医院では、いつも数か月先しか予約が取れません。
虫歯があるわけではないのですが、3ヶ月に一度、定期健診してもらい、4ヶ月に一度、ホワイトニングをしてもらっています。

その歯科医院に行った時のこと。
こんなことを言われました。
「次のホワイトニングの予約は半年以上先になるかもしれません」と。
その理由は、「ホワイトニングは1時間半かかるのですが、歯科衛生士が1人辞めてしまって、なかなか1時間半の枠が取れなくて。」とのこと。
職業病で、なぜ辞めてしまったのか、辞めたことでどんな影響があるのか、いろいろ考えてしまいました(笑)。

詳しい事実はわかりませんが、わかっていることは1つあります。
それは、お客様に迷惑がかかる、ということです。
今までは4か月に一度ホワイトニングしてもらいに行っていましたが、サービスを受けたくても受けられなくなった、ということだけは確かです。
誰かが辞める、ということはその方がやっていた業務を社内で吸収できる場合でも、残された社員に負担がかかります。
また、直接お客様に迷惑がかかる時もある、と自分の身に降りかかった体験でした。
そんなに予約が取れないなら歯科医院をスイッチしようかと思ったほどです。

人が採用しにくい、募集しても応募が来ないなど、人材確保は、既に今も、そしてこれからもますます困難になります。
人が辞めない組織、社員が働きたくなる組織をどうつくるのか、が重要です。
組織はすぐには変わらず、時間をかけて徐々に変化するものです。

なぜ時間がかかるのか。
組織を変える、というのは、バスタブにお湯が張られている状態のまま、バスタブの中身を入れ替えるのと同じようなものだとご理解ください。
自宅のバスタブのお湯は全部バスタブから抜いてから、新しい中身を入れることができますね。
しかし、企業というバスタブに入っている中身は、一旦全部抜き、総入れ替えするわけにいきません。必ず、下からお湯を抜きながら、同時に上から新しいお湯も入れなくてはなりません。
その状態を想像してみるとわかりますよね。

だから、企業・組織を変化させるのは、時間がかかるのです。
それを表した図です。
この「ストック」というのが、体質・文化・意思決定スタイル・価値観・制度・スキル・人材など、企業の中身だと思ってみてくださいね。

だからこそ、もし、人材が採用しにくい、離職が少し気になる、という場合には、早めに手を打つことが重要です。私の通っている歯科医院でも、早く歯科衛生士さんを採用できることを祈っています。

(文:菅生としこ)

株式会社AWESOME EYE 代表 菅生としこ

菅生としこプロフィール

トヨタ自動車出身。組織づくり、人づくりのど真ん中で働いた原体験からはたらくを面白がる達人。
“トヨタの問題解決”を整理体系化し、広く展開。問題解決できる人材開発を行った立役者。
事業の問題解決、人が関わる問題解決、変化成長し続ける組織づくりのための問題解決サポートを得意とする。
問題なくして成長なし!問題があるからオモシロイ!

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