育てるのが上手な上司がしていること

「この人、育てるのが上手だな」と感じる上司がいます。

いつも長く話しているわけではない。
特別にほめ上手というわけでもない。
でも、なぜかその人のもとでは、部下が少しずつ育っていく。

その違いは何でしょうか。


いろいろありますが、
承認が大切な要素の1つであることは間違いありません。

承認というと、印鑑を押すこと?と思われた方も
いるかもしれませんね。

以前、承認が大切ですよとある方にお伝えしたら
「印鑑を押すことですか?」
と質問されたことがあり、

ハッとしたことを思い出します。

ご質問いただけて本当によかったーと
と思った瞬間でした。

そのほかにもよくあるのが、
承認というと、「ほめること」と思われがちです。
もちろん、それも一つです。
もっと広い意味があります。

そして、育てるのが上手な上司は、
承認を広い意味でとらえています。

では、承認とはなにか?

たとえば、

  • 挨拶する
  • 相談に乗る
  • 相手の話にあいづちを打つ
  • 任せる
  • しかる
  • 変化を言葉にする

こうしたことも、実は全部承認です。

相手の存在や行動を、
ちゃんと見ている、受け取っている、と伝えること
それが承認の土台です。

承認があると、人は動きやすくなる

承認には、いくつかの役割があります。

まず一つは、安心することです。

自分が無視されていない。
見てもらえている。
ちゃんと関わってもらえている。
そう感じられるだけで、人は少し動きやすくなります。

二つ目は、自分の変化に気づけることです。

人は意外と、自分では自分の成長に気づきにくいものです。
前より良くなっていても、それを言葉にしてもらわないと、通り過ぎてしまうことがあります。

三つ目は、次に伸ばす行動が分かることです。

何がよかったのか。
どこが前より変わったのか。
そこが見えると、次に何を続ければよいかが分かります。

つまり承認は、ただ気分をよくするためのものではありません。
人が育つために必要な、確認の言葉でもあるのです。

特に伸びてほしい相手には、「自らの変化に気づける承認」が効く

ここが今日いちばんお伝えしたいことです。

「もう少し成長してもらえたら」
「力はあるのに、まだ出し切れていない」
そんな相手に対しては、ただ「いいね」と言うだけでは足りないことがあります。

大切なのは、
相手が自分自身の変化に気づける承認です。

たとえば、

「前より報告書の内容がわかりやすくなったね」
「今日は、相手の様子を見ながら話せていたね」
「今回は早めに声をかけてくれて助かったよ」

こうした言葉です。

ここで見ているのは、結果だけではありません。
前との違いです。

人は、自分の変化が分かると、
「この方向でいいのか」
「少し進めているんだな」
と感じられます。

すると、またやってみようと思いやすくなります。

ほめるだけでは、育たないことがある

もちろん、ほめることは大切です。
でも、「すごいね」「えらいね」だけでは、次の行動につながらないことがあります。

なぜなら、何がよかったのかが分からないからです。

育てるのが上手な上司は、承認するときに、
変化や行動を具体的に見ることをしています。

  • 何が変わったのか
  • どこが前よりよくなったのか
  • 何を続けると伸びそうか

ここを言葉にする。

すると相手は、ただ評価されたのではなく、
自分の成長の手がかりを受け取ることができます。

具体的に、何をするとよいのか

難しいことをする必要はありません。
まずは次の3つで十分です。

1. 前と比べて変わった点を言葉にする

「前より〇〇できていたね」
この形で伝えるだけで、相手は自分の変化に気づきやすくなります。

2. 結果だけでなく行動を見る

結果・成果だけでなく、
「早めに相談できた」
「自分で整理してから話せた」
「相手の話を最後まで聞けた」
など、行動を承認します。

3. 次につながる一言を添える

「その動き、続けるともっとよくなりそう」
「今のやり方、次も意識してみて」
こうした一言があると、承認が成長につながりやすくなります。

承認は、甘やかしではない

ここで誤解しないようにしたいのは、承認は甘やかしではないということです。

しかることも承認です。
任せることも承認です。
相談することも承認です。

相手を一人前として見ているから、声をかける。
期待しているから、任せる。
見ているから、変化に気づく。

そう考えると、承認は「やさしい言葉」だけではありません。
相手をちゃんと見ている関わりそのものだと言えます。

まとめ

育てるのが上手な上司がしていること。
その一つが、承認です。

ただし、承認はほめることだけではありません。
挨拶、あいづち、相談、任せること、しかることも含めて、
あなたを見ているよと伝える関わりです。

その中でも、もう少し成長してほしい相手には、
自分の変化に気づける承認が特に大切です。

前より何が変わったか。
どこがよくなったか。
何を続けると伸びるのか。

そこを言葉にできる上司のもとでは、人は育ちやすくなります。

今日の一歩

今日、部下や後輩に声をかける場面があったら、
「よかったね」だけで終わらせず、
前より変わったことを一つだけ言葉にしてみてください。

その承認が、相手の次の成長につながるかもしれません。

株式会社AWESOME EYE 代表 菅生としこ

菅生としこプロフィール

トヨタ自動車出身。組織づくり、人づくりのど真ん中で働いた原体験からはたらくを面白がる達人。
“トヨタの問題解決”を整理体系化し、広く展開。問題解決できる人材開発を行った立役者。
事業の問題解決、人が関わる問題解決、変化成長し続ける組織づくりのための問題解決サポートを得意とする。
問題なくして成長なし!問題があるからオモシロイ!

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