菅生の一言

実は、研修効果を高めるにはいくつかポイントがあるのですが、大きなポイントの1つとして“上司の関わり”があげられます。
あなたの部下が研修を受ける時、あなたはどのように関わっていますか?

不要な研修は企画されませんので、研修はすべて必要です。
“必要”という意味は、「組織目標達成のために必要だ」という判断です。
上司は、組織(自チーム)目標達成のために自ら動くことが大きな責務です。
従って本来は、上司が組織目標達成のために研修が必要であることを事前に部下に伝え、動機づけしておかねばなりません。

しかし。
様々な企業様で研修を行いますが、事前の動機づけを上司がしっかりしているケースは、2割に満たないのです。
そして、この2割の受講者は、かなり前向きに真剣に受講しようとする態度が見受けられます。
そうすると、研修での成果がかなり高まります。

私は研修講師の立場として、最大限本人の動機づけをしようと頑張りますが、上司ができることと講師ができることは全く別物です。
ですから、上司は事前に部下の気持ちのセットアップをしてくださいね。
例えば、上司が研修への関心を示したり、研修参加の目的を伝えたり、研修受講後の期待を伝えることが重要です。

その上で、講師にバトンを渡し、受講者をお任せいただき、また研修後は講師から上司にバトンを渡す。
実際、このような連携を取り、2人3脚で実施できた研修は、受講者の学びの定着や実践は大きいです。

もちろん、1回きりの単発研修ではいくら2人3脚で実施したところで、効果はかなり限定的ですので、ご承知おきください。
そのようなことを知識として持った上で、研修の企画をしてみてくださいね。

“このようなマネージャーの雰囲気をカールパトリックは5段階で整理しています。

1)抑止的:学んできたことの活用を上司が禁止している
2)やる気をそぐ:「やってはいけない」と直接的には言わないが、上司が快く思っていないことは確実に伝えられている
3)中立的:研修を受けてきたという事実を上司が無視している。職務が今まで通りに完了するのであれば、何も言わない。
4)奨励的:学んだ成果を職務に活用することを奨励している
5)要求的:部下が何を学んできたかを上司は把握していて、それを確実に仕事に転用させたいと思っている”

出典:『研修開発入門 研修転移』ダイヤモンド社
著者:中原淳・島村公俊・鈴木英智佳・関根雅泰 著

あなたは、どんな雰囲気を醸し出していますか?

今一度考えてみてくださいね。

文:菅生としこ

株式会社AWESOME EYE 代表 菅生としこ

菅生としこプロフィール

トヨタ自動車出身。組織づくり、人づくりのど真ん中で働いた原体験からはたらくを面白がる達人。
“トヨタの問題解決”を整理体系化し、広く展開。問題解決できる人材開発を行った立役者。
事業の問題解決、人が関わる問題解決、変化成長し続ける組織づくりのための問題解決サポートを得意とする。
問題なくして成長なし!問題があるからオモシロイ!

MAGAZINE
メールマガジン 好評配信中