「またか、、、」
そんな感覚になることはありませんか?

また似たようなミス。
また離職。
また社員のメンタル不調。
またハラスメントらしき問題。
またコンプライアンスへの不安がよぎる。

一つひとつの出来事には、それぞれ事情があります。
だから、その都度きちんと対応することは大切です。
そして多くの会社は、実際にそうしていると思います。
あなたも、決して放っているわけではなく、その都度真剣に向き合ってこられたはずです。

それでも似たことが繰り返されるなら、少し見方を変えてみてもよいかもしれません。

ここで役に立つのが、氷山モデルという見方です。

氷山は、水面の上に出ている部分より、水面の下に隠れている部分のほうが大きいですよね。
組織の問題も、それに少し似ています。

私たちがふだん目にするのは、ミスが起きた、人が辞めた、不調者が出た、という表に現れた出来事です。
けれど、それが何度も繰り返されるときは、その奥に同じことが起きやすい状態が続いているのかもしれません。

安全の分野で知られるハインリッヒの法則も、「兆しを見る」発想は少し似ています。
表に出た大きな出来事だけでなく、その手前に何が続いていたのかを見る視点です。

問題が起きたとき、まず目の前の出来事に対応する。
それ自体は、とても大事です。
ただ、氷山で考えると、目の前の出来事に対応するというのは、水面の上に出ている部分だけを削ることと同じです。
削っても削っても水面の下に続いている大きなかたまりがそのままなら、また別の形で顔を出してきます。

だから、見えている問題だけをその都度処理していても、もぐらたたきのように、場所を変えてまた似た問題が現れることがあります。

たとえば、離職やメンタル不調が続く場合、そのたびに面談をし、必要な配慮をします。
これは大事な対応です。

そしてメンタル不調になった人や離職する人の問題にしてしまいがちです。
確かにそういう部分もあるかもしれません。
ただ、それでも似たことが続くとしたら、個人の事情だけで終わらせないほうがよい場合があります。

背景に、

  • 期待される役割が曖昧
  • 上司によって関わり方に差がある
  • 困っても相談しにくい
  • 忙しさや負荷の偏りが続いている

といったことがあると、人がしんどくなりやすい状態が生まれます。

このとき大切なのは、離職や不調そのものだけを見るのではなく、そうしたことが起きやすくなる状態はないかを見ることです。

トヨタでは、「問題がないことが最大の問題」とよく言われます。
問題が見えるからこそ、改善できる。
問題があるからこそ、成長できる。そういう考え方です。
問題がなければ成長が止まるのです。

本当に大事なのは、問題が起きたときに、その出来事だけで終わるのか、それとも奥にある状態まで見にいくのかです。

同じ問題が何度も起きることで問題にすべきは、“発生する問題が多い”ことそのものではありません。
起きた出来事には対応していても、同じことが起きやすい状態を見過ごしていることです。

問題は見たくない、できれば、早く終わらせたいと思う気持ちが、実は会社の成長を妨げているかもしれません。その時には、「問題がないことが最大の問題」であり、「問題は成長の種」だと思い出してくださいね。

「また起きた」と感じるときは、
その出来事を責める前に、
何がこの問題を起きやすくしているのだろう
と見ることが、次の一歩になります。

株式会社AWESOME EYE 代表 菅生としこ

菅生としこプロフィール

トヨタ自動車出身。組織づくり、人づくりのど真ん中で働いた原体験からはたらくを面白がる達人。
“トヨタの問題解決”を整理体系化し、広く展開。問題解決できる人材開発を行った立役者。
事業の問題解決、人が関わる問題解決、変化成長し続ける組織づくりのための問題解決サポートを得意とする。
問題なくして成長なし!問題があるからオモシロイ!

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