「菅生さん、私は部下に仕事をガンガン任せてるのですが、課長が仕事を抱えるんですよ…」
前回は「部下に任せられない」という多くの経営者が抱える課題についてお話ししました。
今回は、その逆の視点、「任せられて抱えてしまう管理職」について考えてみましょう。
下に流れない仕事の滞留
ある物流業A社では経営層から部長へ、部長から課長へと仕事が流れるようになりました。
でも、なんと課長の机の上で仕事が山積み状態に。
課長は部長からどんどん任せられるようになったものの、その課長が部下に仕事を振れずにパンク状態に陥っていたのです。
「最近、うちの課長が遅くまで残業しているんです。任せていることは期限通りにこなしてくれるんですが、顔色が冴えません。聞いてみると『大丈夫です』と言うのですが…」
話を聞いていくと、B社では社長から部長への仕事の流れは改善されたものの、課長から一般社員への仕事の受け渡しに問題があったのです。
この場合、2つの論点が隠れています。
1つ目は、管理職が部下に仕事を任せられず仕事を抱え込む
2つ目は、組織内に“滞留ポイント”ができる
ことです。
1つ目 仕事を抱え込む管理職
B社の場合、課長は部下に仕事を任せたいと思っていましたが、「どう伝えれば正確に理解してもらえるか」という指示の出し方に不安を抱えていたのです。
そうなのです。
課長が仕事を任せられないのは、社長が仕事を任せられないのと同じ理由の人もいれば、違う理由の人もいるのです。
ですから、管理職に経営者が任せられるようになった方法は通用しない場合もあります。
2つ目 組織内に”滞留ポイント”ができる
これはよくある話です。社長から幹部、幹部から部長、部長から課長へと仕事が流れても、どこかでボトルネックが生じてしまう。組織の中には必ず「滞留ポイント」ができます。
滞留ポイントが生まれる理由はさまざま。
今回のケースであれば、
- 部下のスキルへの不安
- 任せたいが「どう任せるか」がわからない
- 任せたら部下の負担が増えることを心配
- 部下に嫌われたくない
- 部下が仕事を受け入れる準備ができていない
管理職が仕事を抱え込むのも1つの滞留ポイントですが、その他にも様々なところで滞留ポイントが発生するのです。
たとえば、決裁書類が止まる、議論が前に進まない、離職が続く、制度はあるのに使われない、情報が一般社員まで伝わっていない、などなどすべて滞留ポイントがあるはずです。
まとめると、ポイントは2つ。
・管理職が仕事を抱え込むという具体的な「部分」に対するわかりやすい問題解決
・「全体」の中で滞留しているポイントはどこかを見極めるという複雑な問題解決
この2つが非常に重要な鍵です。
管理職が仕事を抱え込まない方法
管理職が仕事を抱え込む理由はいくつかあります。
主なものに、
・部下の負担が増えてしまうから頼みにくい
・部下のために任せることが必要だと理解できていない
・自分が滞留ポイントになっていることに気づいていない
・部下に仕事を任せた方がチームに貢献できることを理解できていない
などがあります。
マインド的な部分が大きいため、上司やメンターとの1on1でのコーチングや、任せる力を高める研修などが有効です。
ティーチングでは変わらないことが大半です。
いかに自分自身のマインドに気づいてもらえるかが重要な鍵です。
だからこそ、コーチングが有効です。
また、気づきを与える研修も同様に有効です。
ぜひ試してみてください。
あなたの会社の滞留ポイントが1つスムーズに流れるようになり、会社全体の生産性は必ず上がりますよ。
滞留を解消する具体策はまた改めてお伝えします。
弊社でも、任せる力を高める研修を行っています。
全3回×3時間研修と個別面談で、マインド・考え方・スキルを習得すると同時に実践を行い、部下に仕事を気楽に任せられるようになった方多数です。
詳しくお知りになりたい方はご連絡ください。
文:菅生としこ