私は30年以上にわたり人材育成に携わってきましたが、その経験を通して確信していることがあります。
それは、人が成長するためには「振り返り」が不可欠だということです。

成長の鍵はPDCAの「C」と「A」

いわゆるPDCAサイクルにおいて、経験や実行(Do)の後に行う振り返り(Check)と改善(Act)がなければ、成長は促されません。
これは事業におけるPDCAと同じ構造であり、事業が成長するにはPDCAが必要なように、人の成長にもPDCAサイクルが欠かせないのです。

振り返りで問うべき視点

振り返りを効果的に行うには、次のような問いを立てることが有効です。

  • やる前とやった後で、何がどう変わったか?
  • どこまで、どのくらい、うまくいったのか?
  • 上手くいった点は?逆に上手くいかなかった点は?

このように、行動のBEFOREとAFTERを事実ベースで比較し、変化を確認することがポイントです。

なぜ人に対してはPDCAが回らないのか

一方で、自分自身や部下のことになると、うまく振り返りができないという声をよく聞きます。
その理由の一つが、「客観的な事実」を押さえていないからです。
事業であれば、売上や数値などの明確な指標がありますが、人の変化は数値で表しにくく、何を観察すればよいかわからないと感じる方が多いのです。
しかし、だからといって曖昧にしてよいわけではありません。
難しくても、BEFOREとAFTERを事実で確認する必要があるのです。
この「事実の観察」こそが振り返りの本質であり、その中から生まれるのが「気づき」です。

気づきがなければ、行動は変わらない

この「気づき」こそが行動変容の第一歩です。
気づきのないところに変化は生まれません。
だからこそ、社員を成長させたいと思うならば、「振り返り力」や「気づき力」を高めることが不可欠なのです。

振り返り力は鍛えられる能力

私が長期的に育成プログラムで関わる際、特に重視しているのがこの振り返り力の育成です。
どんなプログラムであっても、例外なくこの力を育てます。
実際に、3~4か月目くらいから受講者の振り返り力は明らかに向上し、行動にも変化が現れます。
振り返り力は後天的に鍛えられる能力であり、それを身につけた人ほど、成長が加速します。

あなたの部下は、どのくらい振り返り力がありますか?

部下の成長を願うなら、ぜひ部下自身がPDCAを回せるよう支援することを意識してください。
そのための最適な場が「1on1ミーティング」です。
社員にもっと成長してほしい、上司が部下を育成できるようになりたい――
そう考える方には、1on1の導入を強くおすすめします。

ご興味のある方は、ぜひお気軽にご連絡ください。

文:菅生としこ

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